不動産のマネジメントに携わる皆さん、シアトルからこんにちは、植野正美です。

『アベノミクス』登場後、徐々に明るさが見えて来ている日本の経済と社会。不動産の賃貸市場も、ここのところ、大都市圏だけでなく、全体的には好転しているようです。皆さんの物件をめぐるマーケットは如何でしょうか?

小生が当地シアトルで、アセットマネジャー(家主)をしていたときの事。当時シアトルのマーケットは、歴史的にも最低のマーケットで、後で気が付けば、そのときが「ボトム」でした。

アメリカの仲介会社さんから、その当時、頼みもしないのに送ってくるマーケットレポートは、皆、「ボトムは越した!」「回復期に入っている!」と述べるレポートばかりでした。そのとき、それらのレポートを読んで、小生は、独りで怒っていました。「どこが、“回復期”だ!」「冗談じゃない、一体どこの国のハナシだ!」「なぁ~んにも変わっていないじゃないか!」と。

「浅はかでした」「当時のワタシは」などと、カッコつけたいところですが、「物件を与る」身としての「肌感覚」とは、そんなものではないかと今でも思っております。そして、当時の自分に、今でも「共感」を覚えている次第です。皆さんの中に、PM会社のシニアの方が居られて、日々の現状を、「空室が減らず、賃料が上がらない今のままでは、『PMフィー』が下がったままとなり、甚だ困る」と、肌感覚以上の「重さ」を感じておられる方が居られたら、小生、これにも、大変共感を覚える次第です。

小生の上記、シアトルのケースでは、徐々に、本当に徐々に、ふと気が付いてみると、マーケットは好転していました。ただし、マーケットの一般論が、一般論にすぎないことは、皆さん、良く良くご存じのとおりです。シアトルのこのビルでは、マーケットが好転するまでの間、小生は、ビルを、一所懸命「良く」しました。ただし、このとき、使える「おカネ」は、ローンの残額が残り少ないため、大きな支出は出来ず、限られたものでした。

このとき、「ビルを良くするために」小生の先ずやった最大の事は、「PM会社を変更」したことでした。何故、替えたのか、その目的は、自分では大変ハッキリしていました。「ビルを良くしたかった」からです。アセットマネジャーである小生、と言うより、「家主」のマインドであったと今なお自覚する小生は、「ビルを良くしないと、負けてしまう」「新規テナントは取れないし」、「既存テナントには逃げられてしまう」(解約が出る)と切実に思っていました。

この戦いに「自分と一緒になって戦ってくれる」PMとは誰か?残念ながら、そのとき起用していたPMがその相手であるとは、それまで自分で使ってみて、どうしても信じられませんでした。そのため、新規にPM会社を選抜しました。採用基準は、従って明確です。ビルが勝っていくための競争に、「自分と一緒になって戦ってくれる」PMです。ここまでの「要求」には、クビにしたPMでも、聞かれれば「イエス」と答えたでしょう。そのように聞かれて、そう答えないPMは、恐らく皆無でしょうから。ただし、問題はここからです。つまり、「それが現実に出来るか?」です。

シアトルの例では、「それを本当に出来る」、「俊秀」と思われる米国PMを選抜し、小生の「ビルを良くしたい」の欲求に対して、現状の問題解決を入り口として、家主の持つ欲求の「中身」に共に切り込みました。更に、物件から見た「マーケット」やオーナーの「懐具合」など、「現実」や、その状況、その状況での「Best」を、よく考えながら思考錯誤しつつ、ビルを改善して行きました。

皆さん、皆さんの物件では、「ビルを強くする試み」は、準備OKですか?

「物件を『良く』すること」は、実は、常にPMが行う言わば、「本務」ですが、マーケットが良くなるときには、オーナーサイドのメンタルも様々に動いてくれる可能性もあり、この「本務」を行う・検討する環境としては、プラスと思います。少し斜めから見ても、これの検討を行わない事は、物件のマネジメント(AMを含む)としては、無為による「安全と無難」を隠れ蓑にした、実のところは「怠慢」と、取られても仕方のない場合もある様に思います。ファンドや機関投資家の物件は、投資の面から見ても、この傾向が、常に、(マーケット好転時には勿論)、あると考えられること、ご承知のとおりです。

先ず、最低でも、「マーケットレント」(家賃交渉-値段設定で、妥当に努力すれば取れる、言わば、現況の「実力賃料」)をしっかり取れるように、そしてそれを阻害するビルの持つ「弱さ」(施設・運営の両面)の補充。(それとオーバーラップしますが、)更に次のステップが、(物件によりますが)その「マーケットレント」『以上』の賃料・条件・テナントを取る試みです。これのためには、PMの「シニア」の方と「ひとりひとり」のPMの「マインド」を、日々の「現実」をよく観察することが前提ではありますが、これに捉われ過ぎず、「自由に」且つ「上を向かせる」試みが必須と、小生は、思います。ここまでの段階でも、PMの力量のかなり部分が反映すると感じます。

得るべき「強き」、「穏やかで根性の座った」、「自ら良く考える」マインドなしでは、AMから当然ながら常に出る、例えば、「もっと家賃を高く」の強い要求に対して、「腰砕け」になってしまう状況を否定出来ません。AMのこの「強い、当然の要求に」応える為には、PMとしての現実に基づいた「具体策」(不動産の強き『道具』たる「技術系」のサポートなどの動員を含む)を付けて、AMの要求・決意に迫る意見具申や提案をすること、これが、「PMの力量」そのもので、実はこれが、AMが本来的に望んでいる事です。もし、そのように対応出来ていない状況であったならば、「AMが理不尽だ」、「AMが決定出来ない」、「AMが保身に走っている」などなど、(気持ちは分かるが、)残念なPMの反応に終始してしまうことも実際には、ままあり、こうなると、モチベーションの向上どころか下降と成り得ます。

PMの仕事は、「骨の髄から客商売」です。現実は、決して易しくありません。日米でこれも共通です。ここにもPMの「俊秀」へのヒントがあります。

また、「オーナーに準ずる」立場のPMの方は、ここで述べました、「リスクをマネージ」出来るか、「コストとベネフィットとのバランス」をどう取るか、自分の上司の判断を仰ぐ前に、先ず「物件を与る」立場の自分として、自律的これに向き合えるか、これらのことを直接的に問われる、またとないチャンスが与えられていると考えてみては如何でしょう。

これらの「試練」と「チャレンジ」の重しを、少しずつでも、突き破るには、「個々のPMの実力向上」とそのようなPMを育てて行く「ハウス」としての「PM会社の考え方」しかないものと、小生は、自分の体験を通じて思います。今、日本のマーケットとその背景にある経済は、この努力を行う環境としては、順風に近くなっているように思います。

今、このような「風」を好機と捉え、上記の様な「考え方のインプット」、「トレーニング」など、具体的な「力量向上」への行動を、お考えになっては如何でしょうか。これらの「力量向上」を、日々の「PM日常業務」、「経験・年季を積む」、「先輩に習う」などだけで、言わば、自然に得て行くことは、もしそうであれば大変好ましいのですが、実際上は、「得たい効果」がなかなか得られない事の方が、より「現実」に近いのではないかと、僭越ながら、小生、今までのPM個々人、PMの会社とのトレーニングなど経験から、強く思う次第です。

小生は、上記のような貴方と御社のご努力やトライのサポートが出来れば、大変光栄かつ幸せと思っております。

ホーム/業務案内 のタブにある「小生の行うサービス」の内、
"プチセミナー"辺りで、トライをされてみるのは、如何でしょうか。
小生、首都圏以外でも、日本中、どちらにでも、喜んで貴社のもとへお邪魔致します。

小生、日本には、以下の期間を除き、大体滞在しております。

日本のどこかで、皆さまにお目に掛かれる日を楽しみにしております。

お気軽に、お問い合わせのタブから、ご連絡下さい。

ここまで読んで下さいまして、大変ありがとうございました。

以下、1.に記しますのは、
「ビルを強くする」ためにやったシアトルのビル(写真のビル)の実例です。結果は、「思っていた以上」でした。

このビルで、マーケットの改善を睨んで、実際に何をやったのかは、このホームページ「本」にある拙著、「アメリカビル物語」に多くの実話を書いてみました。ご興味のある方は、クリックしてみて下さい。「目次」と「あとがき」がご覧いただけます。

『本書は、プロパティマネジメント(不動産物件管理)のサクセスストーリーである。』と、「はしがき」の一行目に書きましたが、今でもそのとおりのケースと思っております。

この他、小生は、日本とアメリカ、両方の不動産マネジメントを内側から実地に経験する幸運を得ました。

それらの経験を以下に列挙致します。

  • 当該ビル-シアトル、44階建てシアトル

    (当該ビル-シアトル、44階建て)

    米国のPM会社の内、力量の出せるPMと出せないPMを、物件で使ってみた
    米国シアトルで、アセットマネジャーとして、米国のプロパティマネジメント会社・米人プロパティマネジャーを使い、その能力を引き出しました。先ず、力量の劣った米国のPM会社を使ってみて、実地にその力量のなさによる実害を見、これをクビにしました。そして、米国でも最も優れているであろうPM会社を選抜し、米国不動産の深刻な不況の中、マーケットの好転を睨みながら、物件のValueを上げる試みをし、結果的に約100億円の「含みの損」を解消する売却に結び付けました。(このときの実録詳細は、別ページ掲載の拙著、「アメリカビル物語」-プロパティマネジメント奮戦記-をご参照下さい。(目次・あとがき等、ご覧頂けます)
  •                                 
  • シアトルで起用した俊秀なPM会社に、小生自身が、入社してしまった
    米国で、上記の優れた全米ベースのPM会社(米国ラサールパートナーズ社-その後合併して米国ジョーンズラングラサール社となった。同社の機能は、PMに留まらず、所謂、不動産サービスプロバイダー)に入社し、米国ラサールパートナーズ社の社員として、プロパティマネジャーの力量を上げる各種取り組みに、言わば、内側から体験した。
  • 日本の物件でのPMの経験
    日本で、2002年以降、その当時パラダイムの変わりつつあった収益不動産のプロパティマネジメントの現場に於いて、この「変化」に対応しようとする、外資や日本のプロパティマネジメント会社のもとで、実プロジェクトへの参加やアセットマネジャーとの対話などを通じて、各担当マネジャーの能力アップ業務に従事した。(このときの日本の現場でのケース詳細は、別ページ内容掲載の、連載記事、「時は現在(いま)、ニッポンPM物語」-"自由の国に居たプロパティマネジャーの目に映じた日本国の風景-をご覧下さい。月刊プロパティマネジメント誌、綜合ユニコム社刊、2004年5月号~2006年8月号 計27回)
  • 日本のPM会社などで、セミナー・講演、トレーニング・研修の実施

    対象者の例は、以下のとおり。
        
    • 新入社員
    •   
    • PMマネジャー(物件担当者から課長クラスなどなど)
    •   
    • エンジニア-設備・建築など
    •   
    • 警備スタッフ・清掃スタッフなどへの意識改革
  • 各種講演・セミナーの実施

    今までの講演・セミナーの実績は、セミナー/What’s New をクリックして下さい。
  • 米国シアトルで、「少人数の不動産スタディツアー」の実施

    シアトルでの物件訪問と優れたPMなどとのディスカッションなど、実施しました。

上記の様な、日本のPMについて、日本の内外で経験した小生の実体験の中から、皆さまや皆さまの会社のPMの「力量」や「モチベーション」の向上について、お手伝いが出来るものと思っております。

具体的なお手伝いの中身の詳細については、ホーム/業務案内をクリックして下さい。
以下、サービス項目だけを、列挙致します。

  • 御社に伺って、「セミナー・講演」をする
  • 御社に伺って、「コーチング」をする
  • 日本でのケーススタディーを基に、特定の会社を対象としない聴衆に対し、会場を設定して「セミナー」を開催する。
  • 米国、シアトルにおいて、「少人数の不動産スタディツアー」を行う
  • 特定の会社を対象としない聴衆に対し、会場を設定して「セミナー・講演」を開催する。

上記、詳しい内容は、ホーム/業務案内をクリックして下さい。

ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせのページからご連絡下さい。


【代表者プロフィール】


植野正美(うえの まさみ)慶應義塾大学商学部卒業後、ハザマに入社。勤務地のシアトルでは、同社所有44階建てオフィスビルのAM、PMに従事。1996年米国ラサールパートナーズ(現・ジョーンズ ラング ラサール)に入社し、主に米国西海岸でPM業務等に携わる。その後、独立して現在に至る。